2019年11月15日、彼女は死んでしまった。
死因は電車に轢かれたということだった。
彼女は僕の目の前でスピードのある通過列車に轢かれ、バラバラになった。
僕との思い出が少しでも詰まっていたはずの彼女の脳は、赤黒い海の底に沈んでいった。
言葉が出せない。
頭が回らなかった。
しかし、周りの人は全く動揺していない。
電車も止まらない。むしろ過ぎ去った。
放送もなかった。
唖然としてその場にへたりこんだ。右から何かが近づいてきた。
その姿は彼女そのものだった。
しかし、総てが違う。
お前は誰だ?
彼女の名前を名乗る。
違う。お前は違う。
返せ。
返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ
人殺し。
僕は見ていた。
彼女を突き落としたのはこいつだ。
その後彼女はそいつに成り代わられた。
僕は愛していた人を殺され、1人残された。
置いてかないでよ